ポートフォリオ構築方針
本投資法人は賃貸住宅市場の動向を踏まえつつ、各用途・住戸タイプにおける各種リスクの軽減、地域毎の賃貸住宅需要における経済・社会動向に留意し、用途別・地域別・住戸タイプ別のポートフォリオ構築方針を定めます。具体的には以下のとおりです。
■ 用途別ポートフォリオ構築方針
用途区分 | 説明等 | 価格比率 |
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(1)賃貸住宅 | 単身向け、DINKS向け、ファミリー向け等、通常の賃貸住宅です。専門のオペレーターに運営を委託することを想定した学生向けマンションや、法人による数部屋単位の借上げを想定した社宅(又は寮)もこの中に含みます。(注) | 70%以上 |
(2)マンスリーマンション (=短期滞在マンション) |
家具付きで月単位等の短期契約が可能な賃貸住宅です。独自の運営組織とノウハウが必要なため、専門のオペレーターとマスターリース契約を締結し、一括賃貸することを想定しています。(注) | 25%以内 |
(3)サービスアパートメント | 家具付きで寝具交換、フロントサービス等のサービス提供がある賃貸住宅です。独自の運営組織とノウハウが必要なため、専門のオペレーターとマスターリース契約を締結し、一括賃貸することを想定しています。(注) | |
(4)ホテル | 主として宿泊特化型のホテルを想定していますが、これに限りません。独自の運営組織とノウハウが必要なため、専門のオペレーターとマスターリース契約を締結し、一括賃貸することを想定しています。 | |
(5)高齢者向け施設 | 有料老人ホーム等の形式の賃貸住宅及び介護老人福祉施設等の介護保険施設(これらに付随する医療施設等を含みます。)を想定していますが、これらに限りません。独自の運営組織とノウハウが必要なため、専門のオペレーターとマスターリース契約を締結し、一括賃貸することを想定しています。 | 10%以内 |
(6)その他 | 賃貸住宅等のいずれにも該当しない用途であり、主として資産運用会社であるスターツアセットマネジメント株式会社が兼業する不動産コンサルティング業務により建築企画等を行ったPFI、PPP、市街地再開発事業等による開発物件等を想定していますが、これに限りません。 | 25%以内 |
(注) | 店舗等と併用される物件についても投資できるものとします。但し、こうした店舗併用物件については、原則として上記①乃至③の用途の面積が建物全体(駐車場、駐輪場等の面積は除きます。)の50%以上を占める物件であることを基準とします。 |
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■ 地域別ポートフォリオ構築方針
入居者ニーズが堅調な首都圏主要都市を主たる投資対象としつつ、特定の地域に集中することによる偏在リスクを軽減することを目的とします。
地域区分(注) | 価格比率 |
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首都圏主要都市 | 70%以上 |
政令指定都市(上記に含まれる都市を除きます。)及び 地方主要都市(上記に含まれる都市を除く県庁所在地等) |
30%以内 |
(注) | この表にない地域であっても、政令指定都市又は地方主要都市への通勤圏内(概ね半径20km圏内)と判断できる場合はそれぞれの地域に組入れ可能とします。 |
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■ 住戸タイプ別ポートフォリオ構築方針
ライフスタイルを分析し、各住戸タイプの収益特性を的確にポートフォリオに反映させ、かつ特定の入居者層への偏在リスクを軽減することを目的とします。
住戸タイプ区分 | 説明等 | 面積比率 |
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シングルタイプ | 主な想定入居者像: 学生や社会人を中心とした単身者 想定入居人員: 1人 専有面積: 18m2~28m2程度 間取り :ワンルーム、1K、1DK |
20~50% |
DINKSタイプ | 主な想定入居者像: ゆとりを求める単身者や利便性を重視するDINKSや幼児1人程度がいる家族 想定入居人員: 1人~3人 専有面積: 28m2~45m2程度 間取り: 1LDK、2DK |
5~25% |
ファミリータイプ | 主な想定入居者像: 利便性とともに住環境の良さを重視する子供がいる家族世帯 想定入居人員: 2人以上 専有面積: 45m2程度以上 間取り: 2LDK、3DK、3LDK以上 |
30~60% |
(注) | 物件毎に周辺のエリア性を考慮して検討の上、判断します。なお、住戸毎の割合の計算根拠は専有面積に基づくものとします。 |
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個別物件の選定方針
個別物件の取得に当たっては、賃貸住宅を中心とし、収益性とリスクを総合的に勘案して安定的収入が見込める物件を選定することとしています。かかる物件を選定するための基準は以下のとおりです。
項目 | 物件選定方針 |
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構造 | 木造(但し、耐火建築物であるものは除きます。)及び軽量鉄骨造以外の構造であること |
築年数 | 新耐震設計基準に適合する物件であること |
立地 | 地域性に鑑み賃貸需要が見込めると判断できる立地であり、中長期的に良好な住環境が維持される見込みがある物件であること |
耐震性 | 取得時におけるPML(注)は20%以下であること |
(注) | PML(Probable Maximum Loss)の数値は、対象施設あるいは施設群に最大の損失をもたらす地震(今後50年間で10%を超える確立で発生する大地震)が発生し、その場合の90%信頼水準の相当する物的損失(最大の損失を超えない確率が90%の水準における損失)を示します。数値は再調達価格に対する予想最大損失額の比率で表されます。 |
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デューデリジェンス基準
運用資産の選定に際しては、投資家の利益を最大化することを目的として、外部の第三者である専門家によって作成された不動産鑑定評価書、エンジニアリングレポート及び地震リスク診断報告書等の各種デューデリジェンスレポートの作成を委託する等、外部の専門家の調査や助言を得ながら、当該物件に存在するリスクを明確にした上で、収益性とリスクを総合的に勘案して的確な判断を行うものとします。具体的な調査項目は以下のとおりです。
調査項目 | 内容 | |
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物理的調査 | 建物調査 | 建物主要構造・規模・築年数・設計・施工業者等 |
主要仕上(屋根、外壁、床、壁、天井等) | ||
電気設備、給排水衛星設備、空調設備、昇降機、搬送機、防災設備、駐車場等の状況 | ||
都市計画法・建築基準法等関連法令に対する遵法性 | ||
大規模修繕計画及びその実施の状況 | ||
緊急修繕項目及び費用、大規模修繕計画の見込み | ||
環境・土壌等 | 敷地使用履歴・周辺地域の状況調査 | |
ホルムアルデヒド・VOC(揮発性有機化合物)、フロン・ハロン、耐火被覆様吹付け石綿(アスベスト)、PCB(ポリ塩化ビフェニル)等の有害物質の使用状況 | ||
地震リスク調査 | 新耐震設計基準に適合する物件であること | |
PMLが、ポートフォリオ全体で10%以下、個別物件に対するもので20%以下であること | ||
法律的調査 | 権利関係調査 | 所有権及び所有権以外の権利関係 |
信託受益権については信託契約の内容 | ||
土地の境界確認書や越境にかかわる覚書等 | ||
賃貸借契約・転貸借契約等の状況 | ||
借地権設定者、区分所有者及び共有者等と締結された規約・特約・協定等の内容 | ||
借地権に関する対抗要件具備の状況、借地権譲渡時の承諾料の有無及び金額 | ||
共有物不分割特約及びその旨の登記の有無、共有者間における債権債務関係 | ||
敷地権登記の有無、建物と敷地権の分離処分禁止の措置 | ||
境界調査 | 境界標の有無、隣接地との境界確定の状況 | |
経済的調査 | 市場調査 | 一般的要因(人口の状態、経済動向、土地利用計画及び規制等) |
地域要因(交通利便性、住環境、生活利便施設との近接性、公共施設との近接性等) | ||
取引市場の動向(地下水準、利回り等) | ||
賃貸市場の動向(賃料水準、賃貸条件、稼働率等) | ||
テナント調査 | 各テナントの契約内容(賃貸面積、賃料、共益費等) | |
賃貸支払状況及びその他の契約内容の履行状況 | ||
各テナントの信用力(反社会的勢力との係わりがないことの調査を含みます。) | ||
キャッシュ・ フロー調査 |
収益(賃料、一時金、共益費、その他の収入)の適正性 | |
大規模修繕計画に基づく積立金の方針・措置 | ||
費用(委託管理費、水道光熱費、修繕費等)の適正性 | ||
テナント誘致の競争力の有無 | ||
対象不動産の処分可能性 |
保険付保方針
- ■ 地震保険の付保
- 本投資法人は、地震の発生により生じる予期せぬ損害に対応するために、PML10%以上の物件については、原則として地震保険の付保を行います。
- ■ 損害保険の付保
- 本投資法人は、火災等の災害や不慮の事故等により生じる建物の損害又は対人対物自己を原因とする第三者からの損害賠償請求による損害等に対応するため、各物件の特性に応じた適切な内容の火災保険(破損・汚損特約、家賃保険特約)、機械保険及び施設管理者賠償責任保険の付保を行います。
運営管理方針
プロパティマネジメント業務については、入居者に対する24時間体制での対応が行える等のきめ細やかな対応を広範な物件所在地において均質かつ適切な運営管理コストで行えるよう、一貫した業務体制の構築を目指します。そのため、プロパティマネジメント会社へすべての物件について一括委託するものとします。また、原則として、プロパティマネジメント業務のうちリーシング業務については、募集力があり、リーシングコストが適切なリーシング会社にプロパティマネジメント会社から再委託させることで、プロパティマネジメント会社とリーシング会社の緊密な連携を図り、効率的な集客等による稼働率の上昇を実現することを目指します。かように運営経費を低コスト化し、高稼働率を確保することで収益性を高めることを目指します。
譲渡方針
運用資産については、原則として短期での譲渡は行わず、中長期的に保有することとします。運用資産を譲渡する場合は、不動産市況、当該運用資産が所在するエリアの将来的な不動産市況、当該運用資産の将来的な収益の予測、当該運用資産について今後発生する大規模修繕に関する計画、ポートフォリオ構成を考慮して総合的に判断した上で、譲渡の是非を決定するものとします。