気候変動に対する認識
気候変動への対策が世界的に重要な課題とされているなか、2015年の気候関連変動枠組条約締約国会議(COP)では、「パリ協定」が採択され、2020年10月には日本政府は2050年カーボンニュートラルを宣言しました。
本投資法人及び本資産運用会社においても、気候変動が本投資法人及び資産運用会社の財務・戦略面に中長期的に重大な影響を与えるものと認識しております。
本投資法人及び本資産運用会社は、気候変動が与える影響のリスクと機会を適切に認識し、対応していくことが、持続可能な発展のためには必要不可欠であるという認識のもと、TCFD提言のフレームワーク(ガバナンス・戦略・リスク管理・指標)に沿った開示を行い、リスクの低減・機会の実現に向けて取組んでまいります。
1. ガバナンス
- 本投資法人及び本資産運用会社では、代表取締役を委員長とし、取締役、各部長、その他指名された者で構成されるESG委員会において、気候関連リスク・機会の特定・評価、対応策の決定、リスク管理、指標・目標の設定、目標に対する進捗確認等を行っています。
- ESG委員会は年4回以上開催され、決定事項は取締役会に報告されます。このような体制により、気候関連課題は取締役会によって監督されています。
※ | 詳細は「ESGへの取り組み」における「ガバナンスへの取り組み(G)」を参照。 |
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2. 戦略
- 本投資法人及び本資産運用会社では、 TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)のフレームワークに基づき気候関連リスク・機会の財務的インパクトを評価しています。
- シナリオ分析に際しては、移行リスク・機会についてはパリ協定を踏まえて低炭素経済に移行する 1.5℃シナリオ、物理リスク・機会については化石燃料依存型の発展の下で気候変動対策が実施されない 4℃シナリオを中心に分析を行っています。
主な参照シナリオ
移行リスク・機会 | 物理的リスク・機会 |
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IEA World Energy パリ協定を踏まえた様々な気候変動対策が実施され、物理的リスクが低減される一方で、法規制強化等による移行リスクが高い世界観 |
IPCC(気候変動に関する政府間パネル) 化石燃料依存型の発展の下で法規制強化等の気候変動対策が実施されず、自然災害が激甚化・頻発化する物理的リスクが高い世界観 |
- シナリオ分析を踏まえた気候関連リスク/機会の財務的インパクト、並びに対応策は以下のとおりです。
区分 | 種類 | 項目 | スターツアセット マネジメントへの影響 |
影響の程度 | 対応策 | |
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1.5℃ | 4℃ | |||||
移行リスク | 政策・ 法規制 |
カーボンプライシング(サプライチェーン) | 排出量に対し炭素税が加算され、炭素集約度の高い資材の調達コストが増加し、修繕・改修工事に係るコストが増加する。 | 中 |
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カーボンプライシング(事業活動) | 排出量に対し炭素税が加算され、管理物件の光熱費が上昇し、ランニングコストが増加する。 | 小 |
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省エネ規制の強化 | ZEHを含む省エネ規制が強化され、既存の物件に高効率照明/空調・太陽光・蓄電池等を導入する必要が生じ、対応するための改修工事コストが増加する。 | 大 |
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市場 | 環境性能の低い建築物への需要低下 | 入居者の環境意識の高まりによって、環境性能の低い建築物への需要が低下することで、賃料収入が減少する。 | 中 |
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評判 | 投資家の環境意識の高まり | 投資家の環境意識の高まりによって、気候変動への対応が不十分とみなされることにより、ブランド価値が毀損され、投資口価格の下落等により資金調達コストが増加する。 | 大 |
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物理的リスク | 急性 | 洪水等の自然災害の増加による損害の増加(直接被害) | 気候変動の影響による洪水等の自然災害の増加により、管理物件の損害をカバーする保険料が上昇することでコストが増加する。 | 中 |
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洪水等の自然災害の増加による損害の増加(間接被害) | 気候変動の影響による洪水等の自然災害の増加により、浸水被害を受けた物件の稼働が困難となり、賃料収入が減少する。 | 大 |
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区分 | 種類 | 項目 | スターツアセット マネジメントへの影響 |
影響の程度 | 対応策 | |
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1.5℃ | 4℃ | |||||
機会 | 資源の効率性 | 資源の効率性向上 | 修繕・改修工事の際のサステナブル調達基準を設け、高効率な物品等調達することで(壁紙はリサイクル品利用、節水便器の使用等を指定)、物件の資産価値が向上する。 | 小 |
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エネルギー源 | 光熱費削減 | 再エネの導入により炭素税等の導入による光熱費の高騰を回避することで、ランニングコストが減少する。 | 小 |
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製品/サービス | 環境性能の高い物件への需要増加 | ZEH等の環境性能の高い物件への需要の増加により、稼働率・賃料収入が増加する。 | 中 |
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市場 | 投資家の評判の獲得による資⾦調達コストの低下 | 気候変動への対応について投資家の評判を獲得することで、資金調達コストが低下する。 | 大 |
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強靭性 (レジリエンス) |
災害に強い物件への需要増加 | 気候変動の物理的リスクである豪雨災害に対する高いレジリエンスを有する物件への需要が増加し、稼働率・賃料収入が増加する。 | 中 |
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3. リスク管理
- 本投資法人及び本資産運用会社では、気候関連リスク・機会が中長期的に財務・戦略面での重大な影響を及ぼし得るとの認識の下、気候関連リスクを全社的なリスク管理プロセスに統合し管理しています。
- シナリオ分析を基にした気候関連リスクの評価や管理、対応策の決定を代表取締役を委員長とするESG委員会にて実施し、取締役会に報告しています。
- ESG委員会で実施した気候関連リスクの評価結果をコンプライアンス委員会に報告し、全社的なリスク管理プロセスに組み入れています。
- 2024年4月のESG委員会において気候関連リスク・機会の特定・評価、対応策の決定と実施状況の報告、リスク管理、2050年ネットゼロ目標を含む指標・目標の設定を実施しました。
4. 指標と目標
- 2030年度までに温室効果ガス(GHG)排出量(Scope1,2)42%削減(2023年度比)を目指します。
※ 2030年度削減目標は、2023年度を基準として、SBT(Science based targets)に準じて設定しています。 - 2050年度までにネットゼロ達成を目指します。
※ | 実績については、環境パフォーマンス目標と実績をご参照ください。 |
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